エアコンガスクリーニングのすゝめ
エアコンの効きが悪い…それ、“ガス不足”かもしれません。最後に点検・補充したのはいつですか?

知っていますか?自動車のエアコンガスは何か特別な故障やトラブルがなくても1年に5~10%ほど自然に減少していくものだということを。



自動車の場合、走ったり、止まったり、曲がったりと走行するたびに様々な振動や衝撃がボディーに伝わります。その結果、エアコンホースやパイプ、パッキンの継ぎ目などから少しずつ微量にですがエアコンガスが漏れていってしまうのです。



新車で購入したお車でも4~5年も経つとエアコンの効きが悪くなってきたり、夏場にエアコンが冷えるまでの時間が長くなった・・なんて感じることがあるのはこのエアコンガスが減少している場合がほとんどです。



また、エアコンガスが減少したままでいるとコンプレッサーという部品に大きな負荷がかかり、エアコンの効きが悪くなるだけではなく燃費が悪くなったり最悪の場合にはコンプレッサーが故障してしまう原因にも・・。



コンプレッサーの交換が必要になってしまうとその費用は部品代だけでも10~20万円になることもしばしば・・。特に最近のハイブリッドカーなどではコンプレッサーが非常に高額な部品の1つになってきています。



そんなエアコンのトラブルを事前に防ぐために非常に有効なメンテナンスとなっているのがエアコンガスクリーニングなのです!
エアコンガスクリーニングとは
カーエアコンの冷媒ガスは、完全密閉されているわけではなく、配管やホース、シールの劣化によって少しずつ抜けていきます。さらに冷媒には吸湿性があるため、配管内に水分や汚れが混入し、冷却性能の低下やコンプレッサーの故障原因となることがあります。
エアコンガスクリーニングでは、専用の高精度マシンを用いて冷媒ガスをいったん全量回収。その際に水分や不純物を取り除き、規定量のガスとエアコンオイルを正確に充填します。これにより、冷却効率を最大限に引き出し、トラブル予防にもつながります。
一見すると「ガス補充」と混同されがちですが、実際にはまったくの別物。冷媒量を正確に管理できるのは専用機器だけであり、目分量での補充では本来の性能を取り戻すことはできません。
だからこそ、愛車を長く快適に楽しみたいオーナーには “必須のメンテナンス” と言えるのです。


なぜ“補充”ではなく“クリーニング”なのか?
カーエアコンの「ガス補充」は、あくまで減った分を足すだけの応急処置にすぎません。たしかに一時的には冷えるようになりますが、内部に溜まった水分や汚れ、不純物までは取り除けないのです。
さらに多くの補充作業は、簡易的なゲージを使ったアナログ作業で「正確な量」が入っているとは限りません。そのため、実際にはガスが不足したまま冷えがイマイチ改善しないケースや、逆に入れすぎてコンプレッサーを傷めてしまうケースが少なくありません。
当店が行っているのは、その場しのぎの補充ではなく、専用のエアコンメンテナンス機器による精密なクリーニングです。
- ガスをすべて回収し、内部の水分や不純物を徹底除去
- 高精度な機器で規定量を正確に充填
- 新しいオイルを補充してコンプレッサーを保護
つまり、単なる「補充」とはレベルがまったく違います。本来の冷却性能を引き出すだけでなく、エアコンシステムを長持ちさせる投資になるのです。
「プロの専用機器でメンテナンスしているかどうか」――それが補充とクリーニングの決定的な違いです。
施工料金
車種 | 基本工賃 | エアコンガス | コンプレッサーオイル | 使用機器 |
---|---|---|---|---|
![]() ![]() 国産車 | 15,000円 (税込み16,500円) | R134a:110円(税込み)/10g 1234yf:660円(税込み)/10g | PAG:60円/1g POE:60円/1g | ![]() ![]() Snap-on DUAL PRO2 |
![]() ![]() 輸入車 | 20,000円 (税込み22,000円) | R134a:110円(税込み)/10g 1234yf:660円(税込み)/10g | PAG:60円/1g POE:60円/1g |
エアコンガスの種類
R134aとは
R134aは、長いあいだ多くのクルマのエアコンに使われてきた冷媒ガスです。90年代に主流だったR12というガスに代わって採用され、オゾン層を壊さないという特徴があります。
ただし、地球温暖化に与える影響が大きいことから、最近の新型車では少しずつ使われなくなってきています。それでも2000年代以降の国産車や輸入車の多くは今もR134aを使っているため、点検やクリーニングは欠かせません。
特に古くなったガスには水分や汚れが混ざりやすく、エアコンの効きが悪くなるだけでなく、コンプレッサーの故障につながることもあります。だからこそ、ガスを適正量に補充し、きちんとクリーニングすることがエアコン性能を保つカギになります。
R1234yfとは
R1234yfは、R134aの次世代として登場した新しい冷媒ガスです。大きな特徴は「環境に優しい」という点。地球温暖化への影響がほぼゼロに近いため、ヨーロッパを中心に世界中で急速に普及しています。
ただし、R134aよりも取り扱いが難しく、可燃性があることから、専用の設備や技術を持ったプロの整備工場でしか対応できません。また、ガス自体の価格も高いため、正しい施工をしないと余計なコストがかかってしまうリスクもあります。
すでに多くの輸入車や最新の国産車で採用が始まっており、これから主流になっていく冷媒といわれています。だからこそ、R1234yf車のオーナーは「ちゃんと対応できるお店かどうか」を見極めることがとても大切です。
コンプレッサーオイルの種類
PAGオイルとは
主にベルト駆動用のコンプレッサーを搭載したカーエアコンに採用されていて、一般的なガソリン車やディーゼル車などで主流となっているコンプレッサーオイルです。
化学的にガスとの相性が良く、高温や高圧の環境でも安定して潤滑できるので、安心して使える定番オイル。
ただし「湿気を吸いやすい」という弱点があり、空気中の水分を取り込むと劣化や酸化につながります。なので、保管や交換作業のときは水分管理がとても大切で専用の機器を使用したメンテナンスが必要なのです。
POEオイルとは
主に電動コンプレッサーを搭載したカーエアコンに採用されていて、多くのハイブリッド車や電気自動車などで主流となっている次世代のコンプレッサーオイルです。
最大の特徴は絶縁性が高く電気を通しにくいということ。そのため電動コンプレッサーを搭載したクルマには欠かせない存在です。
ただしPAGオイルと比べてコストは高く、PAGオイル以上に湿気を吸いやすいという特徴があるため、POEオイルの管理やメンテナンスには専用の機器やしっかりとした技術が必要となります。
真空引きが必要な理由
真空引きとは
カーエアコンのメンテナンスで欠かせない工程が「真空引き」です。これは、エアコンシステムの内部を完全に真空状態にする作業のこと。
真空にすることで、内部に残った湿気(水分)や空気をしっかり除去することができます。
実は、この湿気が残っているとコンプレッサーオイルと反応して酸が発生し、コンデンサーや配管などの部品を腐食させる原因になったり、冷却性能を大きく落としてしまう原因にもなるといわれています。
つまり「真空引き」は、冷えの効き目を復活させるための下準備であり、同時にエアコンシステムを守るための必須工程でもあるということです。
なぜ定量充填が必要なのか?
定量充填とは
エアコンガスは「多ければ多いほど冷える」というものではありません。入れすぎても、足りなくてもNGなのです。
ガスが不足すると冷えが悪くなるのはもちろん、オイルの循環も悪くなってコンプレッサーの寿命を縮めます。逆に、入れすぎると高圧がかかりすぎてシステム全体に負担をかけてしまうのです。
そこで重要なのが「定量充填」。車種ごとにメーカーが定めたベストな量をきっちり充填することで、エアコンは本来の冷却性能を発揮し、部品も長持ちします。
なので「ただガスを足すだけ」と「定量充填で仕上げる」では、実はエアコンの性能にも寿命にも大きな差が出るといわれています。